2009年08月30日

ep3絵羽碑文読解の抜粋

ep3の碑文解読の流れ。
ほぼ原文だが、…や無駄な描写は省いている。



きりえの感想
碑文は大体、三つのパーツに分けることができると思うの。

5行目「そこに黄金の鍵が眠る」までが、鍵の在り処を示した最初の部分
第十の晩までの11行が、黄金郷そのものの場所を示した部分。
残りの六行は、黄金郷に巡りついてからの部分ね。

「生まれは確かに小田原だけど、お父様が懐かしむ故郷は、たぶん、
小田原のことじゃないわ。それについては、多分、兄弟たちは
全員、同じ場所で認識してるわね。」
「そうね。多分、小田原じゃないわね。聞いた話では、
とても楽しい少年時代だったそうよ。」
「親父の人生で最大の不幸は多分、右代宮家の当主にさせられたことだろうよ。」
「恐らくな。親父殿は右代宮家の当主になど、本当はなりたくなかったのだ。」
「それはどこなのかしら?そしてそこに鮎の泳ぐ川は?」
「当時はあったんじゃないかしら。
今はだいぶ開発が進んだでしょうから、鮎はいなくなってるかもしれない。
お祖父さまが少年時代の当時に鮎がいた、と言われると非常に調べるのは困難ね。」
「川も一本ではないだろう。地理的な意味では我々もそれぞれにかなり
調べたつもりだ。
絵羽に至っては、現地まで直接調べに行ったんじゃないかね?」
「あくまでも旅行としてよ。でも、町並みは当時と完全に変わってる。
何しろ戦争を挟んでいるのよ?お父様がどこに住んでいたのかさえ、
正確な場所の把握は不可能よ。多分、お父様が自ら現地に足を運んでも、
今となっては、どこに住んでいたか特定できないでしょうね。」
「あちらさんもずいぶん目覚ましく復興したって話だからな。」
「鮎の川、と言われて、はっきりとした地名は出ないの?」
「そりゃあなぁ。何しろ、鮎だぜ?
水が綺麗な川に住むってんだから、それこそ心当たりの川は無数だったろうさ。
親父が無邪気に鮎釣りをした小川も、その後の開発で埋められたりもしただろう。
戦前の地図、もしくは戦前の現地に詳しい人でもいりゃあ話は別だが。」

「懐かしき、故郷を貫く鮎の川。黄金郷を目指す者よ、これを下りて鍵を探せ。
ここまでの二行で一度改行してるのよね。
この二行だけで、何かの提示が成立するのよ。
その何かに基づいて次の三行が続くんじゃないかしら。」
「とにかくその二行だけで、はっきりとこの”川”という特定ができるのよ。」
ひょっとすると、水の流れる”川”ではないのかもしれないわね。
”鮎の川”は何かの比喩かもしれない。
鮎という言葉にはどんなイメージがあるのかしら。」
「鮎はシャケみたいなモンや。
淡水魚だが、生まれてすぐは海に出るんや。ま、一度は家を出るが
大きくなって戻ってきて卵を産むって辺りは、一族繁栄的なイメージが
あるかもしれんな。」
「淡水魚なのに海水でも生きられるのかよ。川魚だから海には出られないと思ったぜ」
「鮎は香りが良いことから香魚とも呼ばれるとか。」
「これは私の妄想なんだけど。実は私、鮎の川のイメージから、
家系図を疑った事があるの。鮎は一度海に出るけど、
また生まれた川に帰ってきて産卵するんでしょう?
まるで私のことみたいだなって思って。」
「川を下れば、やがて里あり。家系図を下っていくと見つかる”里”は、
真里亞の名前に含まれる”里”の字だけだ。」
「でも、お父様は真里亞のことを毛嫌いしてて、ほとんど言葉を交わした
こともない。それに、お父様はかつて真里亞のに全然違う名前をつける
ように言ってたの。それを私がかってに真里亞にした。
お父様はそれをとても怒っていわた。
その経緯を考えると、財産や家督を引き継ごうという大切な碑文に、
真里亞の名を引用するとはとても思えなくて。」
「真里亞ちゃんに碑文を読ませたことは?」
「もちろんあるわ。でもさっぱりみたいだった。
魔女の復活の儀式、みたいな相変わらずのオカルト話ばかりで、さっぱりだったわ。」
「確かに両者にオカルト趣味はあるが、まったく交流はなかった。
私も、真里亞のことを指しているとは思えんね。」
「懐かしき、とわざわざ冒頭に付けているのが私は気になるわ。
さっきみんなが言っていたように、お父さんにとって右代宮家の当主と
なることが不本意だったとしたなら。それを懐かしんだりするかしら。
それは右代宮本家を示す小田原ではないと思うの。
私には、この”懐かしき”という冒頭の一語が、お父様にとってとても
大切な思い出深い場所を示しているに違いないと信じているんだけれど。」
「当時の地図もさっぱりだから特定は困難だが、とにかく、親父の少年時代の
故郷に鮎が泳げる川は何本かあったろうさ。」
「水の流れる川なら、ね?」
「川を下ればやがて里あり、からの三行はちょっとよくわからないわ。
これは多分、鮎の川の二行に連結している。鮎の川の正体がわかれば、
多分、自然と意味が繋がるものなのよ。
それが分からない限り、この三行を先に解こうとしても無駄でしょうね。」
「”鮎の川”の正体がわからねぇとお手上げか。
しかも文字通り、河川を指した保障もねぇと来た。
鮎ってのは何なんだ?親父の好物か?それとも何か特別な意味があるのか?
深読みしても仕方ねぇのか?」
「ミクロとマクロの二つの視点を持たないと、視野が狭まるわね。
深く考えすぎないで、魚が泳いでる川、あるいわ流れ、下るもの、上るもの、
それくらい抽象的なイメージにしておいた方が発想が柔軟になっていいかもしれない。」
「こうして考えると正確には四つの区分寝。”鮎の川を下り”、
”黄金郷の鍵を見つけ”、”黄金郷へ旅立つ”、”そして黄金郷の宝”。」

旅立ちの部分
「”鍵を手にせし者は”から始まるということは多分、鍵を理解していないと
話は進まない。」
「”鮎の川”が水の流れる川とは限らないように、その”鍵”もまた、
本当に鍵の形状をしたものか、疑わしいわね。」
「暗号とかキーワードの可能性もあるわ。だってこの鍵わ、
鍵穴に差すものじゃない。第一の晩に6人に生贄を選ぶためにあるんだもの。
その意味においては、この鍵は黄金郷の扉を開くものじゃないと言い切れるわね。」
「しかし物騒な鍵です。6人もの生贄を選ぶ鍵なんて。」
「鍵がどうやって選ぶんや。ルーレットみたいに、くるくる回すんかいな?」
「この鍵が、ある特定の6人を指し示す。いえ、ある特定の六つを指し示すというべきね。
もしこれが、文字通りに生贄を捧げろという意味でないならば。
例えば、アナグラムかもしれないわ。」
「アナグラム?言葉遊びのことかね?」
「家系図の話で、真里亞ちゃんの名前に里が含まれて、という話をしていた時から
ずっと考えているの。
例えば、ルドルフさんは、懐かしき故郷という単語からずっと、
地形的・座標的なものを想定しているようだけど、そうじゃないかもしれない。
これはある種のなぞなぞ、あるいわ文字遊びかもしれないって。」
「文字遊びとは何ですか?」
「カモメカモメカチンカチンみたいなやつさ。”カ”を抜いたらなぁに?みたいな。」
「真里亞のなぞなぞブックにあったんですけどね?タヌキの手紙っていうのがあるんです。」
”タ”の文字を抜くと、そこに正しい文章が浮かび上がる、みたいな、そんな遊び」
「その”抜く”というのが、案外”殺す”というのに転じるかもね?」
「黄金郷の鍵はひょっとすると、六文字の単語なのかもしれない。」
「つまり、タヌキの手紙の”タ”が、六文字あるっちゅうわけか?」
「日本では子どもの遊びという印象が強いが、特に英語圏では
知識人の小洒落たユーモアでもあるらしい。
親父殿が関心を示すことは、十分に考えられるね。」
「ここで急にわからなくなるの。ここまでの流れは、謎に満ちていながらも
非常に順番的だった。
”鮎の川”、”それを下れ”、”そして鍵を見つけろ”、と非常に順番的。
そしてその結果、六文字の鍵を手に入れたと仮定するんだけど、”何から”
六文字を殺すのか、わからなくなるの。」
「第二の晩に、”残されし者は”とある。
ということは、少なくともその”何か”は有限の文字数なのよ。
そこから六文字を抜いて残った文字で話を進めろと読み解けるわ。
なのに、最初に提示があるべき”何か”がわからないの。
やっぱり文字遊びという仮定が間違っているのかしら。」

「みんな”黄金郷”なのに、なぜかここだけ”黄金の郷”なの。
わざわざ”の”が一文字混じるのよね。」


絵羽推理

私は朦朧としたまま、ずっと持ち続けている手帳を見る。
そこには、幾百の夜、穴が開くほど見たかわからない、碑文のページが開かれている。

それこそ、まさに扉。

その向こうに、私が子どもの頃から巡り着きたいと願い、どんな努力も
惜しまず、そして辿り着けなかった”黄金郷”がある。

私は、その扉にこうして両手を掛け、ページ、いや、扉を開いているというのに、
その向こうへ未だ至れないと言うのか。

「そうよ。あなたは扉に手を掛けている。さぁ、それを力いっぱい開くの。
そして、その扉に書かれた文字を読むのよ。」
「力いっぱい、開く。扉に書かれた文字を、読む。」

「”懐かしき故郷”は、私たちの想像をきっと裏切らないわ。
お父様が唯一懐かしむ過去は少年時代だけだもの。」

「自分で言ってたじゃない。水が流れる川かどうか、わからないって。
鮎という言葉がそんなにもややこしいなら忘れてしまえば?」
川で考えるの。川で。”家系図”という連想は悪くないわ。
その要領で川から連想するものを、他にも考えてみて。」

川じゃなくて?川じゃなかったら鮎は泳げないのに?
あぁでも、鮎が泳げるってことは海までつながってるのかしら。
川魚だけど、海に出るってうちの人も言ってたし。
海まで。
・・・いえ、・・でも、・・・。・・・え・・・?
「気がついた?でもうろ覚えなの。ここには書庫があったはず。
調べれば確認できるわ。」
それが”鮎の川”なら、そして鍵は6文字の単語かもしれないなら。
鍵が本当にその川に眠ってるというの?
とにかく地図帳を調べなければ。
でも、それが分かったとしても、”何から”6文字を間引くかが
分かってないじゃない。
「本当にわからないの?よく考えて。
私たちは下手に頭がいいから発想が硬いのよ。
碑文の謎だなんて大層に考えないで、子どものなぞなぞだと思って。
男なんて、いくつになったって子どもなの。
お父様が老境に差し掛かったとしても、心の中の本質的な部分は
子どもと何も変わらない。お父様への畏怖を捨てるの。
真里亞が船の中で突然出してくるような、下らなくて低能な
なぞなぞ遊びだと思って。
…なぞなぞ。…くだらない、低脳な。
あれは確か、…なんだっけ、…えっとえっと…。

…確か、私の記憶が間違っていないなら、たぶんあれはえっと。
ううん、あやふやな事で確かめなくていい。
それもきっと書庫で調べればすぐにわかる。
「私たちはたぶん、もう答えに気づいてるわ。
後はそれが正しいか調べるだけよ。」
あそこには、お父様の書斎からあふれ出した硬い本が山積みよ。
きっと、私たちの疑問に答えてくれる本が見つかるわ。

知識人ぶった百科事典全巻みたいな硬いものばかりだが、
調べ物がしたい今の私にはとても好都合だった。

蔵臼と留弗夫は気付かないと思うわ。
でも、霧江はわからない。あいつ、おかしな勘が鋭いわ。
あとは楼座もわからない。

「…う。…これ、鮎の川…?」
なるほど、鮎の川とはそういう意味なのね。

「川を下ればやがて里あり…。里って町や村って意味?人口密集地だもの、
そんなのいくらでもあるわよ…。」
「里ってなに?里ってどういう意味?この”川”を下ると里なんてあるの…?
…あ、…ぁあぁぁぁ……!!」
その里にて、二人が口にし岸を探れ。
”岸”よ。わかってる?」
「わかってる…!岸、…岸…!」
全然意味のわからなかったピースが、目の前で勝手に、ぱちり、ぱちりと
組み合わさっていく…。

「でも、これは全然六文字じゃないわ。
これが答えに間違いないって断言できるけど、これは全然六文字に満たない!」
なら、それを6文字で読める方法を考えなさい。
思いつかないなら調べなさい。…きっと答えはある。

「1,2,3,4,5,6…。ろ、六文字…。見つけた。
これが、黄金郷への、鍵ッ!」

えぇ。それが、黄金郷への。…わたしたちの子どもの頃からの夢への、鍵。
…その鍵を挿す鍵穴は、あそこしかない。
生贄に捧げるのは、きっと、あれ。
もう、わかるよね…?


移動してから
「こっち?こっちへ回れってことよね?
こいつらが、…私をこっちへ回れと誘ってるもの…。」
心臓が飛びあがる。…そこには、ぽっかりと、不気味な暗黒が
口を開けていたからだ。
「な、何よこれ。なんなのよこれ…?!」
暗がりに目を凝らすと、灯りのスイッチを思わせるものがあった。
他にも、開閉と書かれたスイッチもある。

迷わず、灯りのスイッチを入れると、まるで炭鉱か何かを思わせるような
無骨な灯りが点段々とつき、地下へ伸びる階段をぼんやりと浮かび上がらせる…。

灯りのスイッチ以外にも、開閉と書かれたスイッチもあった。
これで、たぶん、開け閉めができるのだろうが、
もし万が一、開けるの方が壊れていたら、私はこの不気味な地下に、
永遠に閉じ込められてしまうかもしれない…。
だから私は、とりあえず、開閉のスイッチには触れず、銃を構えなおして、
ゆっくりと階段を下りていく。

天井の高さはたっぷりあったため、息苦しさはない。
むしろ、冷たい風が吹き上げてくるような気がして、その不気味さに霊気さえ感じた。
銃を構え、慎重に先を伺いながら、私は階段を下りていく…。

壁や階段、灯りは皆、かなり古臭い。
この島に屋敷が建てられた当時に作られたものなのは、疑いようもないかもしれない。
天井にはひびが入り、雨水が壁を伝って、さらさらと流れ落ちている。
その水は階段脇に設けられた側溝に落ちて、地下の闇へ静かに早く流れていく。

階段は何度か折り返した。
どの程度を降りたかわからないが、地下一階よりはもっと深く降りたと思う。
するとやがて、…無骨な金属製の扉が姿を現した。
そしてそこには赤黒い塗料で文字が書かれていた。
書かれたのはだいぶ以前だろう。
”第十の晩に、旅は終わり、黄金の郷に至るだろう。”
間違いない。こここそが終点。
お父様の、黄金郷!!

その部屋を見た第一印象は、屋敷のどれかの部屋につながっていたのではないかというものだった。
そう、これは2階にある開かずの貴賓室の雰囲気にそっくりだった。
でもここは地下だから窓はない。
あるのは、荘厳なシャンデリアの厳かな灯りだけ。
しかし、そのわずかな灯りによって照らし出されるインテリアの気品は、
息を飲ませて余りあるほどのものだった。

天蓋付きのベッドに、ゆったりと座れそうなロッキングチェア。
贅沢なソファーに絨毯。
女の子ならだれもが一度は憧れる夢のような部屋…。
にもかかわらず、窓がなく、地下にある秘密の部屋というイメージは、
どちらかというと、魔女の隠れ家とでもいうような雰囲気だった。

そして、…部屋の奥に、それを見つける。
「あった…。ほ、本当にあった。お父様の、黄金…ッ!!」
天蓋ベッドの向こう側に、それはうず高く積み上げられていた。
山と成す、黄金のインゴットの山ッ!!
その黄金の山には緋色の美しい繻子織りの織物が掛けられ、
赤と黄金、そして深き闇の美しき三色で彩られていた…。



ローザとの会話
「姉さんにヒントをあげるんじゃなかったわ。そうだったなら、
ここに辿り着いたのは、きっと私が一番だった。残念よ。
「鮎の川に悩み過ぎたわ。鮎なんて大した意味、ないじゃない。」
「そんなことないわよ。立派なヒントだったじゃない。
まぁ確かに、鮎である必要はなかったかもね。
でも、鮎や海に出る魚だと聞いて、私はそれで気付いたの。」
posted by stem at 14:46| Comment(0) | 碑文の謎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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